人情噺 文七元結

本所の割下水に住む左官屋の「長兵衛」。腕は良いが無類の博打(ばくち)好きで借金だらけ、娘の「お久」が見かねて、吉原の妓楼(ぎろう)・角海老に身を売る。長兵衛は女将に呼ばれて、懇懇と説教される。
 その帰りの大川端で、百両を盗まれて、身を投げようとしている若者を助け、娘の身代金を与えて帰る。
 再び長兵衛の家。女房の「お兼」は、また、博打かと、大騒ぎの喧嘩になる。そこへ先ほど助けた手代の「文七」と、その主人が、盗られたと思ったお金は忘れたものだったと百両を返しに来た。主人はお久も身請けして文七と夫婦にし、小間物屋を開かせることに。新しい元結(髪を束ねる紐)を考案して「文七元結」と命名する。